『未来の東京』戦略
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(新しい日常による様々な変化を捉えた都市づくりを進める)○新型コロナ危機を契機として、身近な空間レベルでの過密を回避し、安心やゆとりある生活を重視する意識への変化などにより、テレワークの進展、働く場と居住の場の近接や融合等、多様なライフスタイルに応じた柔軟な対応へのニーズが高まっている。○その一方で、人と人が出会い、交流するリアルの場の大切さが再認識され、文化やエンターテインメント、自然の豊かさといった、オンラインでは代替しがたい「楽しさ」「美しさ」を存分に享受できることの重要性が増している。人と機能が集積する大都市東京は、こうした「楽しさ」「美しさ」を磨くことで、新たな価値を高めていく可能性を有している。(東京のまちは、止まることなく進化を続けている)○江戸時代から現代まで続く東京の都市づくりは、明暦の大火、関東大震災や戦災などにより幾度も壊滅的な状態に陥りながら、その度に先人たちが復興を果たしてきた。都市復興の機会を捉えて土地利用の見直しや道路整備、市街地開発等が行われ、都市の骨格が築かれてきた。○また、1964年の東京オリンピックを契機とし、東海道新幹線や首都高速道路が整備され、その後の日本経済の発展を背景として、都心部では一斉に整備が進んだ都市基盤を礎に、高度に機能が集積した世界有数の都市となった。○近年、鉄道ネットワークや環状道路の整備、羽田空港の機能強化、都市再生などにより、更なる都市機能の強化が図られており、激しい国際的な都市間競争の中、世界の都市総合力ランキング※で3位を維持している。(インフラや建築物の更新で、人が集い、憩う空間を創出する)○道路や橋梁、港湾施設など、高度経済成長期に一斉に整備されたインフラの多くが更新時期を迎えている。都市インフラを365日休まず機能させるため、壊れる前に対策を講じる予防保全型管理の考え方のもと、高度な都市機能をしっかり維持しながら、更新や長寿命化を引き続き進めていく。69○新型コロナによって生じた様々な変化が都市のあり様に与える長期的な影響を見据えつつ、サステナブル・リカバリーの考え方に立って、先端技術も活用しながら、過密の回避と都市としての集積のメリットの両立を図り、緑や公園とまちが融合した、にぎわいと魅力あふれる持続可能な都市づくりを目指していく。※一般財団法人森記念財団都市戦略研究所公表

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