首都移転にNO!
<東京都地方分権推進部国政広域連携・首都調査担当>

トップページ東京都はこう考えます首都移転に関する知事発言
平成11年第4回都議会定例会 知事発言 (平成11年12月1日)


 次に、首都移転問題について申し上げます。

 国会等移転審議会における移転先候補地の選定作業は、当初の予定より遅れており、答申はまだ行われておりません。この問題に対する、都民や国民の認識は極めて低く、このまま国が手続きだけを進めれば、我が国の将来に取り返しのつかない禍根を残すことは明らかであります。
 首都移転については、国に対して、この際勇気をもって白紙撤回するよう、改めて強く申し入れます。

(全国への呼びかけ)
 首都移転は、首都東京の問題だけではなく、国家全体を危機に陥れかねぬ、極めて重大な問題であります。
 去る9月、私は、衆議院の国会等移転特別委員会において、移転に反対する側の知事として初めて意見表明を行いましたが、この場での議論を通じて、国家的見地に立った論理展開や、広く国民全体に議論を喚起していく運動の必要性を痛感いたしました。

 このため、都議会をはじめ、区市町村、民間団体などと一体となった「首都移転に断固反対する会」を直ちに発足させるとともに、全国の自治体に移転反対を呼びかけることとし、副知事を筆頭に幹部職員が多くの自治体を訪問して協力を要請いたしました。

 あわせて、内閣法制局や特別委員会の委員に対して、これまで明らかにされていない首都の定義や天皇の国事行為に与える影響などについて、文書で質問を行いました。その結果、「首都移転に断固反対する会」のメンバーからの回答を除いては、納得のいく回答は未だに殆どなく、いかにも国民的議論が不十分であるという印象は否めません。

 我が国は現在、600兆円にものぼる膨大な借金を抱えております。また、低経済成長社会を迎え、新たに生み出される国富に限りがある中で、福祉、環境、情報など、新時代を切り拓き、豊かな国民生活を確保していくための様々な対応を迫られております。

 国際社会で強い影響力を発揮できる国力も維持していかなくてはなりません。莫大な投資を行い、時間をかけて新しい首都を建設することが許される国家的状況にないことは明白であります。

 いま、我が国が選択すべき道は、地方分権と規制緩和を徹底的に進め、それぞれの都市や地域が、これまで培ってきたストックを最大限に活かしながら互いに個性を競い合い、最少の投資で最大の効果を生み出す国土づくり、都市づくりを進めることであります。現在進められている首都移転計画は、バブルが生んだ不良債権と同様、将来大きな負の遺産となりかねません。

 都民や国民の皆さんの中には、首都移転の意義と進め方について、大きな疑問と強い不信を抱いている方が大勢いることと思います。私は、来る12月17日、こうした全国からの声を結集し、「首都移転に断固反対する国民大集会」を開催いたします。日本の将来のあるべき姿を真剣に考えていくため、都民の皆さんはもちろん、全国の皆さんにもご参加いただくよう、お願い申し上げます。


(首都機能は東京圏全体で担う)
 我が国の首都機能はこれまで、東京を核として、東京圏を構成する七都県市が分担・連携しながら、その役割を担ってまいりました。

 したがって、日本全体の視点から首都のあり方を考える上では、東京圏自らが、圏域全体の将来構想を国民に分かりやすく示していく必要があります。

 私は、人口3300万人を擁する東京圏が、これからも政治、経済、文化などの諸機能の中心にふさわしい圏域であり続けることが、我が国全体の国際競争力の強化や経済の活性化を図るために不可欠であると考えます。そのためには、東京圏全体の多彩な拠点都市が適切に役割を分担しながら、21世紀の首都機能を十全に発揮できる地域づくりの戦略を明らかにしなくてはなりません。

 こうした観点に立って、先月開催された七都県市首脳会議において、首都を引き続き担っていくための東京圏のあり方について、直ちに調査に着手することを決定いたしました。

 21世紀は、超音速旅客機や情報ハイウェーなどにより、既存の空間構造が大変革を遂げる時代であります。東京圏もこれまで蓄積されてきたストックを十分に活用しながら、衣替えを図っていかなければなりません。

 私は、50年先を見据えた東京のあるべき姿を明らかにすると同時に、七都県市相互の連携を一層緊密にしながら、既成市街地の再構築、圏域内での移動時間の短縮、東京湾沿岸域の有効利用など、メガロポリスがもつ潜在的な力を引き出すための方策に、全力を挙げて取り組んでまいります。