学生向け金融セミナー 知っておきたい金融の基礎知識 第3回

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皆さん、こんにちは。株式会社WealthLeadの濵島です。第3回目の今回は、先日発表になったフェイスブックによる新たな仮想通貨(暗号資産)「リブラ(libra)」についてのお話です。

仮想通貨。
ビットコインに代表されるこの言葉に皆さんはどんなイメージをお持ちでしょうか。
「億り人」「コインチェック事件」「大儲け」「大損」・・・日本においては、「投機」の対象として、2017年から2018年にかけて大きな話題となりました。
今回発表になった「リブラ」は、投機の対象としてではなく、今までの常識を大きく変え、既存の金融機関を脅かす仮想通貨(暗号資産)であると思います。その内容を見ていきましょう。

リブラの最大の特徴は「ステーブルコインである」ということです。ステーブルコインというのは、法定通貨などの実質資産に裏付けされ、価格の一定性が保たれた仮想通貨(暗号資産)のことです。リブラの場合、米ドルや日本円等と一定の比率で交換することができるようになる予定です。価値の信頼性と価格の安定性が担保されることになり、投機の対象にはなり得ません。

さらに、リブラの特筆すべき点は、「使える場所が最初から用意されている」ということにあります。発表があった6月18日時点で28社が参加企業に名を連ねています。

表1

 

つまり、上記の企業が提供する商品やサービスでは、リブラで「支払いをしたり、送金ができる」ということです。最初からこれだけの規模で使えるシーンを用意した例はなく、画期的だと言えます。2020年のサービス開始時点では、参加企業は100社になると予想されています。

また、世界には銀行口座を持たない成人が17億人いると言われています。中国やインド、パキスタンなどに多く、定住していないことや金融機関そのもののインフラが無いことがその理由とされています。 しかし、金融機関のインフラが整備されていない地域でも情報インフラは整備されており、スマホを持っている人は多いのです。銀行口座を持たない人にとってはもちろん、日本の私たちにとってもコストが安くて早い決済サービスはありがたいですよね。

一方、マネーロンダリング防止やセキュリティー、個人情報保護等、まだまだ課題も多いです。

マネーロンダリングとは、麻薬取引、脱税などの犯罪によって得た資金(汚れたお金)を、架空または他人名義の金融機関口座などを利用して転々と送金を繰り返したり、仮想通貨の売買を通じて資金の出所や受益者をわからなくすることです。
また、コインチェックの約580億円に上る仮想通貨流出事件を始め、不正アクセスによる事件は世界的にも多発しており、セキュリティー体制の構築は不可欠です。

個人情報保護も含め、各国の監督当局による議論は始まったところであり、予定通りサービスが開始されるか、まだまだ予断を許さないと思います。

フェイスブックのユーザーは現在27億人です。世界の人口は77億人ですから、世界中の約1/3の人に一気にアクセスできることになり、日本の人口の20倍以上もの人々が世界中で使う可能性があるのです。このサービスの影響度は計り知れません。
今後様々な動きが出てくると思います。注目していきましょう。

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