学生向け金融セミナー 知っておきたい金融の基礎知識 第4回

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皆さん、こんにちは。株式会社WealthLeadの濵島です。第4回目の今回は、先日発表になった公的年金の財政検証についてです。

今年の6月、「老後2,000万円問題」が話題になりました。そして8月27日、公的年金の財政検証結果が示されました。財政検証とは年金の健康診断のようなもので、5年に1回実施されています。
今回、今後の経済成長率や物価の上昇率、賃金上昇率等により6つのケースに分けて検証しています。その中で年金の給付水準を表す「所得代替率」という言葉が頻繁に出てきます。
所得代替率というのは、65歳になった人のもらえる年金は現役世代の男性の平均手取り収入に対してどれくらいなのかを示した数字です。
ここで注意すべきは、示されている給付水準は「モデル世帯」だと言うことです。モデル世帯とは、「40年間厚生年金に加入した平均的な収入のサラリーマンの夫と40年間専業主婦の妻の夫婦」です。高度成長期ならいざ知らず、このような世帯に当てはまる人はかなり減ってきています。
下図をご覧ください。左図は年齢別未婚率ですが、40歳代以降の未婚率、つまり独身の人が明らかに増えてきています。右図はフリーランスとして働く人が増えてきているというデータです。モデル世帯の数字だけでは自分はどうなのか、さっぱりわからない人が多いということになります。

グラフ1

 

所得代替率だけではイメージしづらいと思います。年代別受給額も開示されていますので確認してみましょう。

表1

 

上図は、ケースⅢ:物価上昇率1.2%、賃金上昇率(対物価)1.1%、経済成長率(対物価)0.4%を前提とした試算です。今年65歳で年金をもらい始める世帯は22万円、今30歳で35年後にもらい始める世帯は25.9万円。あれ?金額増えてますね。もらえる年金は減らない??
それでは一番上の現役男子の平均賃金と合わせて見てみましょう。今年度現役賃金35.7万円に対して65歳22万円(所得代替率61.7%)、2054年度現役賃金50.9万円に対して65歳25.9万円(所得代替率50.8%)となります。所得代替率のイメージがご理解いただけたでしょうか。いずれにしても、これからの35年間で物価は上がり、賃金も約43%増えているのに、年金は約18%しか増えていません。やはり、実質的に年金は減るのです。

若い皆さんは、この結果をどう受け止めるでしょうか。
はっきりしていることは、皆さんが高齢者になった時にもらえる年金は減り、公的年金だけで老後を豊かに過ごすのは難しいということです。不足する老後資金の対策は3つしかありません。「できるだけ長く働く」「節約する」「資産を作る」です。私が皆さんにお伝えできるのは「資産を作る」ことです。このコラムや11月に予定されているセミナーを通じてお話していきます。
でもまずはどのような働き方をしたいのか、理想のライフスタイルは何なのかを考えることが大切だと思います。素晴らしい人生にすべく、夢を描いて理想に向かって行動してください。そしてしっかり稼いで、豊かな資産を作れると良いですね!
それではまた!

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