学生向け金融セミナー 知っておきたい金融の基礎知識 第9回

更新日

皆さん、こんにちは。株式会社WealthLead(ウェルスリード)の濵島です。11月16日(土)と17日(日)のセミナーに参加された方はお疲れ様でした!合計8時間の長丁場でしたが、幅広く学んでいただけたのではないかと思います。

さて今回と次回はiDeCoとつみたてNISAについて。今回は、セミナーではお話できなかった事も含めてiDeCoについてお伝えします。

iDeCoというのは愛称で、正式には「個人型確定拠出年金」と言います。確定拠出年金には、個人が掛金を拠出する個人型と企業が拠出する企業型確定拠出年金があります。2019.9月時点でiDeCoの加入者は約138万人、企業型確定拠出年金の加入者は約720万人であり、会社員の方の中には、「よくわからないけど会社で入っているかも??」という方も多いかも知れません。iDeCoの加入対象者は第1号被保険者と企業年金の無い会社員に限定されていましたが、2017年1月に拡大され、2016年12月での31万人から前述の通り約138万人と急増しました。老後2,000万円問題があった今夏以降は一段と増えているようです。(データはiDeco公式サイト/11月22日付 日経新聞記事 参照)

iDeCoは、公的年金(国民年金と厚生年金)とは別に、自分で老後の資金を準備するための制度(仕組み)です。たまに「iDeCoが儲かると聞いたので買いたい!」という方がいらっしゃいますが、iDeCoは「制度」であって「商品」ではありません。
公的年金とiDeCoの関係は以下のようになります

図:公的年金とiDeCoの関係

 

iDeCoは「拠出」が「確定」している年金制度で、自分で拠出した掛金を、自分で選んだ商品で運用し、60歳以降に受け取る仕組みです。したがって、運用の成果次第で受け取る金額はそれぞれ違ってきます。

20歳~60歳未満で国民年金保険料を払っている方ならどなたでも加入でき、月額5,000円以上1,000円単位となっています。職業や働き方によって、また勤め先の年金制度によって、掛金の上限額に違いがあります。
例えば、学生や自営業者等の第1号被保険者は月額68,000円(年額816,000円)、第2号被保険者のうち、会社員は月額23,000円(年額276,000円)ですが、会社に確定給付年金があると月額12,000円(年額144,000円)、会社に企業型確定拠出年金があると加入できないケースもあります。また、公務員や私立学校の教職員も月額12,000円(年額144,000円)ですが、私立学校の教職員も企業型確定拠出年金があると加入できないケースもあります。また主婦(夫)は月額23,000円(年額276,000円)です。

iDeCoの最大のメリットは「税制優遇」です。具体的には以下の3つです。

  1. ①拠出時の掛金が全額所得控除
  2. ②運用時の運用益が非課税
  3. ③受け取る時は一時金であれば退職金として退職所得控除、年金方式であれば公的年金等控除

①は、例えば会社員で月額23,000円(年額276,000円)拠出していた場合、この276,000円に対しては所得税と地方税がかかりません。仮に、所得税率が10%の方の場合、地方税10%と合わせて年間55,200円も税金が安くなります!すごくないですか?
②は、資産運用して利益が出たら通常20.315%の税金がかかります。これがかからないというのは大きいです!
③は、退職金は老後の生活を送るうえで重要な原資となってきた経緯があり、退職所得控除後の半額に税率をかける仕組みですので、退職金としてみなされるのは大変有利です。

一方で、以下のようなデメリットもあります。

  1. ①手数料がかかる
  2. ②原則として60歳以上になるまで引き出せない
  3. ③運用成果によっては全然増えない、あるいは元本割れの可能性

①は、数種類の手数料がかかります。まずは加入時2,829円必要です。掛金を拠出している間は最低毎月171円(これに加えて上乗せ額がある金融機関もあります)。また、受け取る時や金融機関を変更する時も手数料がかかります。特に毎月かかる手数料は、残高が小さいうちはそれなりの負担になります。
②については、60歳まで引き出せないということは困るかもしれません。しかし、裏返すと確実に老後の資金を準備できるというメリットでもあると思います。いつでも引き出せるのであれば使っちゃいますよね。。。
③は、まさに投資や資産形成の知識が必要になるところです。商品ラインナップには元本確保の商品もありあますが、どうせならしっかり勉強して増やしたいところです。

iDeCoを始める時には、どこに申し込むか、よく調べる必要があります。前述の通り、金融機関によって手数料が違いますし、商品ラインナップも違います。手数料が安く、良質な商品を取りそろえている金融機関を選ぶことが肝要です。
ご参考までに、特定非営利活動法人確定拠出年金教育協会が運営するサイトが詳しいのでリンク先を貼っておきます。https://www.dcnenkin.jp/search/

iDeCoは転職や離職等により働き方が変わっても持ち運ぶことができます。さらに、現在、来年度の税制改正でiDeCoを使いやすくする議論がされています。例えば、勤め先に企業型確定拠出年金があってもiDeCoに加入できるようにする、掛金の65歳まで拠出できるようする、等が検討されています。

人生100年時代、iDeCoを活用して素敵な老後に備えましょう!

記事ID:000-001-20231008-000371