学生向け金融セミナー 知っておきたい金融の基礎知識 第12回

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皆さん、こんにちは!株式会社WealthLead(ウェルスリード)の濵島です。今回が最後のコラムとなりました。

最終回の今回は、資産形成において最も大切なことを再度お伝えします。
次の3つのキーワードは、ぜひ覚えておいてください。

分散・長期・低コスト

投資することによって資産を作っていきますが、投資にはリスクが伴います。そのリスクを減少させるポイントが3つのキーワードなのです。一つずつ見ていきましょう。

キーワード①【分散】
まず初めに、「分散」を意識してください。分散には3つあります。資産を分散する、地域を分散する、時期を分散する3つです。

投資の対象資産には、主として株式、債券、REIT(不動産)があります。元本の変動しない預金とは違い、これらの資産価格は変動しますが、一般的には株式と債券は逆の動きをするケースが多いことが知られています。最近の株式市場の急落場面でも債券価格は上昇しました。このような異なる値動きをする資産を組み合わせることで、リスクを分散させるのです。
次に、地域の分散です。日本の資産だけでなく、海外の資産にも投資するのです。残念ながら日本は少子高齢化で大きな経済成長は見込めませんが、高い成長性を持つ国や日本にはない強みを持つ(例えば、豊かな資源を持つ、人口がどんどん増える、先進的な知財が豊富、など)地域へも投資することで、世界の成長を取り込むのです。また、日本円だけしか持っていないことがもはやリスクですので、海外の通貨にも投資することがリスク分散につながります。
さらに時期の分散です。下表はドルコスト平均法と呼ばれている、定期同額投資の方法です。

表1

 

値動きのある資産に毎月1万円投資した例です。価格が高い時は購入できる口数が少なくなり、価格が安い時は購入できる口数が多くなります。結果的に、買い始めた時と価格が変わらなくとも、平均の購入価格は888.9(60,000÷67.5)と安く購入できたことになります。

キーワード②【長期】
下図は、国内外の株式と債券に毎年投資して(分散投資ですね!)、5年間と20年間保有した場合の結果です。

グラフ1

 

ご覧の通り、5年間の保有だとリターンにかなりのバラつきがありますが、20年間保有した場合だとリターンは収斂しています。過去の実績からはリターンを安定させるためには長期投資が有効なことが裏付けされています。

キーワード③【低コスト】
投資に際してはコストも意識してください。資産形成の中心は投資信託ですが、保有している間は信託報酬というコストがかかります。信託報酬0.1%程度の商品も出てきていますし、1~1.5%程度かかる商品もあります。保有している間はずっとかかるコストですので、長期的にはパフォーマンスに影響します。
また、同じ商品でも購入する金融機関によって購入時手数料が違うケースがあります。購入時手数料は販売会社が決めることになっているからです。昨年12月以降、多くのネット証券で投資信託の購入時手数料がゼロになりました。投資する側からするととても良い事です。

今、新型コロナウィルスの感染拡大で世界中が混乱しています。日本においても大規模なイベントが中止になったり、小中高等学校が休校になったりして大きな影響が出ています。皆さんの中には就職活動で影響を受けている人もいるでしょう。
世界の工場である中国の生産活動が止まり、サプライチェーンが分断され、人の動きが一気に停滞したことから経済も大きな打撃を受けています。世界の株式市場も大きく下落しました。
株式市場の大きな下落は過去にもありました。古くは1929年に始まった世界恐慌や2回にわたるオイルショック、まだ記憶に新しい2008年のリーマンショックまで、幾多の大きな下落を経験してきました。しかし、いずれも克服して世界経済の発展とともに株式市場は上昇してきました。

資本主義の世の中はこれからも変わらないと思います。資本主義経済が続く限り、世界経済は発展を続けるはずです。もちろん、資本主義の性格は変わりました。利己的で物質的な豊かさを求める資本主義はとうの昔に終焉し、今は利他的で精神的な豊かさを求める資本主義に変わりつつあります。人はモノやお金ではなく、共感で動く時代になってきています。おのずと投資の世界も変わってきています。前回のコラムでお伝えしたESG投資もその一環です。

新型コロナウィルスによるピンチも世界は必ず乗り越えていきます。
資産形成を今スタートするとしたら、とても恵まれたスタートとなるでしょう。
皆さんには明るい未来が開けています。自信をもって歩んで行ってください!
またどこかでお会いできる日が楽しみです。それではまた!

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