首都機能移転問題については、平成2年の衆参両院による決議以降、13年間にも及び議論が続けられてきました。
衆参両院の国会等の移転に関する特別委員会は、本年5月及び6月に、これまでの成果を中間報告として取りまとめましたが、またも移転先候補地の絞込みを断念したものになっています。このことは、首都機能移転問題に対する国民の関心が低く、いまだに国民的議論がなされていないことによる当然の帰結といえ、これ以上議論を続けても国民の合意が得られるとは到底考えられません。しかしながら、中間報告は、さらに議論を進めるべきであるとし、これを受け、6月には、国会移転に関する政党間両院協議会が設置されました。
八都県市は、これまで、国政改革は、首都機能移転と関係なく、地方分権や規制改革などを優先して行われるべきものであり、東京一極集中の弊害の是正のためには、「展都」と「分権」による首都圏の再編整備を進めていくことこそが、首都圏のみならず我が国の将来を豊かなものにしていく、最も現実的かつ効果的な方策であることを一貫して主張してきました。
また、災害対応力の強化についても、国や八都県市が有する首都機能のバックアップ体制を構築することにより早期に、しかも莫大な費用をかけることなく達成できることから、八都県市では、昨年5月に、その具体的方策を取りまとめ、国へ提案しております。
高度な危機管理機能を備えた新しい首相官邸が既に整備され、中央省庁や議員会館等の建替えが進められている中、一方では、国と地方を合わせて700兆円もの長期債務を抱える厳しい財政状況の下で、さらに巨費を投じて首都機能移転を推進することは、我が国の将来を誤るものであります。特に、候補地間で首都機能を分け合う分散移転案は、我が国の国力を分断し、弱体化させるものと言わざるを得ません。
この十余年の間、バブル経済が崩壊し、未曾有の景気低迷が続く中、国民不在の移転論、移転のための移転論はここで終止符を打ち、直ちに我が国の将来を見据えた有効な取組を推進するべきです。
八都県市としては、今後とも一層連携を深めて首都機能を担い続け、活力と魅力のある首都圏の再生を推進することを改めて主張するとともに、国会においては首都機能移転に向けた協議を完全終結させ、首都機能移転計画は白紙撤回すべきことを強く表明します。
平成15年11月13日
八都県市首脳会議 |
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埼玉県知事 |
上田清司 |
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千葉県知事 |
堂本暁子 |
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東京都知事 |
石原慎太郎 |
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神奈川県知事 |
松沢成文 |
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横浜市長 |
中田 宏 |
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川崎市長 |
阿部孝夫 |
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千葉市長 |
鶴岡啓一 |
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さいたま市長 |
相川宗一 |
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