首都移転にNO!
<東京都知事本局地方分権推進部国政広域連携・首都調査担当>

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報道発表資料(国会等の移転に関する予測調査(その7)
平成11年7月8日
政 策 報 道 室
 このたび、政策報道室は、調査報告書「国会等の移転に関する影響予測調査(その7)」をとりまめましたので、お知らせいたします。
 この調査では、国会等移転審議会で示された12兆3千億円という首都機能移転の事業が、我が国経済に及ぼす影響について、全国を9ブロックに分割して、マクロ経済モデルにより、定量的に分析しました。
 また、どの地域に社会資本の投資を行えば、経済波及効果が大きくなるかについても、分析しました。本調査の結論は以下の通りです。
1 東京圏(1都3県)以外の地域に対して、一点集中型投資を行う首都機能移転の事業は、壮大な無駄遣いになりかねない。
  マクロ経済モデルを利用して、シミュレーションしたところ、政府最終消費支出や社会資本投資などが、経済波及効果が大きいと考えられる東京圏等から移転先へ振り替わることで、次の結果となった。
(1)  移転すると、我が国経済全体の経済成長が小さくなる。
(2)  移転すると、国債発行残高は増加する。
(3)  移転すると、首都機能の移転先地域のみ高い経済成長を示し、その他の地域はすべて、経済成長が小さくなる。
2 東京圏において、道路をはじめとする社会資本の投資を行って、そのストックを充実させるべきである。
(1)  景気浮揚の点では、労働力の大きさに比べて、道路等の社会資本ストックが不足し、大きな損失が生じている東京圏に対して、社会資本の投資を行い、そのストックを増加させれば、実質 GDPの増加幅は、他の地域よりも2倍から4倍も大きくなることがわかった。
(2)  道路、上下水道及び廃棄物処理のストックを増加させることによる実質 GDPの増加幅を都道府県別に試算したところ、東京都、愛知県、大阪府、千葉県、京都府、埼玉県、神奈川県などの都市部で大きい結果となった。


調査のポイント

1 東京圏(1都3県)以外の地域に対して、一点集中型投資を行う首都機能移転の事業は、壮大な無駄遣いになりかねない(第3章)
 2004年新都市建設開始、2023年までに移転完了、新都市建設の公的負担は全国各地域から移転先地域へ振り替えを行う、などの想定のもとで、シミュレーションを実施しました。
(1) 移転すると、我が国経済全体の経済成長が小さくなる
 我が国経済全体では、移転しない場合と比べて、実質 GDPの累積差額(~2023年)はマイナス15~1兆円程度となります。
(2) 移転すると、国債発行残高は増加する
 移転しない場合と比べて、税収等が少なくなるため、歳入不足分の国債発行により、その発行残高が2023年時点で最大約2兆円増加します。
(3) 移転先地域のみ高い経済成長を示し、他の地域は経済成長が小さくなる。
 地域別では、移転しない場合と比べた実質 GDP累積差額(~2023年)は、移転先のみ約40~50兆円程度増加しますが、移転先以外のすべての地域はマイナスとなります。
2 東京圏において、道路をはじめとする社会資本の投資を行って、そのストックを充実させるべきである(第2章及び第4章)
どの地域の社会資本ストックを増やせば経済成長をより大きく押し上げるか試算しました。
(1)  東京圏に社会資本の投資をして、そのストックを増やした方が、他の地域のストックを増やすより、経済波及効果が大きくなる
 労働力の大きさに比べて道路等の社会資本ストックが不足しているため、大きな損失が生じている東京圏に対して、社会資本の投資を行い、そのストックを増加させれば、実質 GDPの増加幅は、他の地域よりも2倍から4倍も大きくなることがわかりました。
(2)  道路、上下水道及び廃棄物処理の投資を例にとると、東京都などの都市部において、そのストックを増やした方が、経済波及効果が大きくなる
 道路、上下水道及び廃棄物処理のストックを増加させた場合の、実質 GDPの増加幅を都道府県別に試算したところ、東京都、愛知県、大阪府、千葉県、京都府、埼玉県、神奈川県などの都市部で大きいことがわかりました。
(まとめ)
我が国経済の実質GDP を押し上げるためには、首都機能の移転先に一点集中的に投資するよりも、東京圏において、道路をはじめとする社会資本の投資を行って、そのストックを充実させるべきであることが立証されました。