高橋みなみの未来ビジョン

Tokyo Entertainment City 構想

―ビジョン懇談会では、「Tokyo Entertainment City」をテーマにご提案いただきましたが、あらためて2050年のエンターテインメントのイメージを教えてください。

2050年は今では想像できないくらい技術が発達していると思います。地方の方や入院されている方、高齢の方にもエンターテインメントがより近くにあってほしいと思うので、VRで、ライブ会場の最前列にいるような感覚を味わえたら楽しいだろうなと思います。

また、マイケル・ジャクソンさんや美空ひばりさんなどのすばらしいアーティストの方々と共演することも可能になると思うんです。

今も、映像とリンクさせて歌うということはありますが、実際に隣にいるようにパフォーマンスすることができたら楽しいと思います。

―アイドルの形や音楽等の発信の場としてのメディアはどうなっていると考えていますか。

やっぱりアイドルは存在し続けてほしいです。ただ、その時代によって形は変わっていくのかなと思っています。

80年のアイドルは、テレビの向こう側の少し遠い存在でしたが、2000年代に入ったら、会いに行けるとか、以前よりも近い存在になってきていると思うので、ここからどう変化していくのだろうと思います。

今まで人間のみのグループだったのが、ロボットとか2次元のメンバーがいるなどアイドルグループという形も変わっていくと思います。人間がつくったと思っていた曲も、実はAIがつくって発信していたり・・・今では想像できない音楽が生まれそうですよね。

また芸能人の幅も広がってくると思うんです。今は、ネットとテレビの境目がなくなってきていて、10代の子はテレビよりもネット配信の番組だったりYouTubeを見ているとよく耳にします。YouTubeに出ている方の知名度は高いですし、これから変化もでてくると思います。

―そうした未来の中で、20年後、30年後の子供たちは、どういった生活をしてほしいですか。

よりよく楽しい世界であってほしいなと思います。就職難とか、保育園に入れない等の問題もありますが、個人が好きでやっていることが結果として仕事になるといいですよね。

今も自己発信の世界になってきています。ユーチューバーもなりたい仕事ランキング上位だときくので、自分から新しい職業をつくれる楽しい社会であってほしいです。

“結婚”もなくなるかもしれないですね。

パートナーの定義が変わっていき、いろいろな形があるのが当たり前になっていくと思うんです。ただ入籍はしていないけど、タッグは組んでいるような、よりよく自分自身の人生を楽しめる状態になっていると思います。

―では、2050年になっても、残っていてほしい、変わらないでほしいというものはあります?

ラジオは残っていてほしいです。どの職業がなくなるのかという話になったときに、ラジオはなくならないんじゃないかって言われることが多くて、やっぱり人に言葉を伝えることって、実はAIに出来にくいことなんじゃないかと思うんです。私は今、ラジオの生放送のパーソナリティを務めているのですが、リスナーさんから声が届いて、それを読み上げて、遠くの人ともつながっている感じがするのがすごく楽しいんです。人の温かみみたいなところは、今のところAIでは難しいところだと思うので、やっぱり人間にしかできないものはあるんじゃないかとは思います。

―2050年の自分を考えたときにどのようになっていると思いますか。

今の秋元康さんの年齢と同じですよね(笑)。

そう考えると、楽しいと思います。やっぱり今、一緒にお仕事をさせていただいている方がそれぐらいの年齢の方も多いので、その人たちが生き生きと今を楽しまれていて、クリエイティブにつくっているのを見るとかっこいいと思うんです。

だから、自分自身も、その時代どこまで何が発展して、自分の仕事で何を楽しんでクリエイティブにやっているのかは分からないんですけど、遊べる50代でいたいですね。

年金等の問題を聞いて自分の将来も大丈夫かなと不安視するよりも、何の気なしに楽しく生きているというのがベストだと思うんです。

―2050年を担うことになる子供たちについて

年下の子と接していると、自分たちの年代と考え方が少し違うと感じるときがあるんです。

だから、大人がこれはだめだと言うのはやめた方がいいのかなって思いました。

子供たちは自分で察知するアンテナがあると思うんです。大人が言ったものをやらせるのではなく、楽しいと思うものを選ぶようになってきていると思うので、それを見て伸ばしてあげた方がいいのかなと思います。