東京23区の不合理な大学定員規制

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東京23区の大学定員規制(23区規制)について、若者の進路選択や大学改革、日本の成長に与える影響などを、動画や資料で分かりやすく解説します。

23区大学定員規制とは?

進学による若者の東京流入を抑制すべきという地方の主張を背景に成立した「地方大学・産業創生法」によって、東京23区内の大学は、原則として定員を増やすことができません。
23区大学定員規制は令和9年度末までの時限措置とされ、令和8年6月から国の有識者会議において、今後の規制のあり方が議論されています。

規制によって制限されていること

  • 定員増を伴う新しい学部や学科の設置
  • 社会的な需要(ニーズ)の高い既存学部などの定員増
  • キャンパスの再編・統合 研修施設の新設・統合
 

高度なデジタル人材を育成する学部などに対する例外規定もありますが、既存学部の削減など、制約が多く、あまり活用されていません。

例外規定

  • 大学の定員を増やさず、既存学部の削減と新設を同時に実施
  • AIやデータサイエンス、DXを担う「高度なデジタル人材」を育成する学部・学科
    ただし、7年以内に定員を戻すこと

東京都は23区大学定員規制の撤廃を求めています

23区大学定員規制は、学生の選択や大学経営の自由を縛るものであり、学生の学びと成長の機会を奪うのみならず、大学の教育・研究体制の改革を滞らせ、大学ひいては我が国の国際競争力を低下させることにつながりかねません。

東京都の主張

  • 「地方大学・産業創生法」は、地域における若者の修学・就業を促進し、地方の活力向上につなげることが目的とされているが、そもそも23区の大学定員を抑制することが、なぜ、地方の活力向上につながるのか、全く根拠がなく、極めて不合理な制度である
  • 23区の多くの大学からは、「規制によってデジタルなどの成長分野の学部設置を断念した」、若者からは「進学先や将来の選択肢が狭まる」など、規制に対して多くの懸念の声が寄せられている
  • 規制開始後も制度の目的である若者の地方への進学状況に変化はなく、なんら効果が見えない
  • 若者の将来や、国の成長戦略の足かせとなる非常に弊害の大きいものである
  • 学生の学びと成長の機会を奪うのみならず、大学の教育・研究体制の改革を滞らせ、大学ひいては我が国の国際競争力を低下させる23区大学定員規制は撤廃すべき

23区大学定員規制のQ&A

23区大学定員規制について、その概要や大学・若者への影響、東京都の考え方をQ&A形式で分かりやすく解説します

23区大学定員規制に対する大学や若者の声

実際に大学にはどのような影響がありますか?
東京都が令和7年度に実施した調査では、23区内の41大学が規制の影響を受けたと回答しています。
具体的には、「IT・デジタル分野など成長分野の新学部設置を断念した」、「新たなカリキュラム編成に必要な教員採用・設備投資が困難になっている」など、多くの大学から規制が妨げになって長期的な大学改革や将来構想を描きづらくなっているとの声が上がっています。

【主な意見】
  • データサイエンス関連の学部新設を構想しているが、既存学部の定員の削減がネックとなり実現できずにいる。
  • IT・デジタル関連人材の不足に応える新しい学部を検討したが、規制のために見送った 。
  • 規制があることで、文理融合で社会課題を学ぶ学部の23区内のキャンパスへの新設を断念し、23区外のキャンパスに設置したが、学生の受け入れが難航している。
  • 近隣県のキャンパスにある学部の学生も含め異なる学部の学生たちを23区内のキャンパスで共修させたいが、規制によりできない。
  • 現在、近隣県のキャンパスに通う1~2年生を研究・教育環境の整っている23区内のキャンパスに通えるようにし4年間一貫教育を行いたいが、規制によってできない。
  • 規制により定員を増やすことができず、定員増による収入増加が見込めないため、新たなカリキュラムを作ろうとしても、教員の採用や設備投資がしづらい。
  • この規制が足かせとなって長期的な計画や将来像が描けず、大学改革が進まない。
規制に対して、若者はどのように考えていますか?
東京都が令和7年度に実施した調査によると、現に、高校生や大学生からは、「進学先の選択肢が狭まる」、「どこの大学で学ぶかは学生自身が決めるべき」といった、規制を懸念する声が聞こえてきています。
また、「新しい学部をつくり、時代に即した人材育成ができる環境にすべき」との意見もあり、規制が社会の変化に対応した学びや人材育成の妨げとなることへの懸念も示されています。

【主な意見】
  • 23区内の大学へ進学を希望している高校生の選択肢が狭まる(東京都・高校生)
  • 東京で新しい価値観で学びたい人の意欲が低下してしまう(静岡県・高校生)
  • どこの大学に行きたいかは学生が決めることで、その希望を国の都合で潰してしまうのは良くない(沖縄県・高校生)
  • 時代によって必要となる学びが変わってきている中で、東京23区内にあるというだけで規制するというのは不公平だと思う(岩手県・大学生)
  • どんどん新しい学部を作って、時代に即した人材を育成できる環境にするべきだと思う (福島県・高校生)
  • 地方の大学に進学してほしいなら地方の大学の魅力を上げるべきであって、東京の大学の魅力が高まるのを抑制するのは本質的な解決になっていないと思う(京都府・大学生)
  • 規制ではなく、地方の大学に魅力的な学部を作れば良い (岡山県・高校生)

規制による効果はない

東京都内の大学に、地方から若者が集まっているのですか?
東京都内の大学が、全国から若者を集めているという認識は誤りです。
東京の大学に入学する学生の7割以上が東京都や神奈川県、埼玉県、千葉県の高校を卒業しています。 また西日本のほとんどの府県では、都内大学に進学する学生の割合が1割未満となっています。

また、加えて、進学時の東京への転入超過数(地方から都内大学に進学した人の数-東京から地方大学に進学した人の数)が増えているとの指摘もありますが、2015年と2025年における大学進学時の東京への転入超過数を比較すると、その内訳は9割以上が神奈川県や千葉県、埼玉県からの増分で、通学圏内での進学者が増えているというのが実態です。地方から東京への転入超過数の伸びは2%と、進学率の高まりに伴う地方の進学者全体の伸び(4%)以下です。

東京に学生が集中しているというのは本当ですか?
全国における東京都の大学生比率は、昭和40(1965)年は約5割でしたが、地方大学の増加等により26.4%に減少しており、近年では横ばいです。
また、ソウル・パリ・ロンドンなど、他国の首都の大学生比率は20%以上あり、東京都の大学生比率は他国首都と同程度です。
 
 
 
 
 
 
 
規制によって地方大学への進学者は増えましたか?
規制導入後も、地方の大学に進学する学生の割合は横ばいで変化が見られず、規制の効果はありません。
こうしたことからも、23区規制を継続するのではなく、地域の大学の魅力を高める取組を一層進めることが重要であることは明らかです。
地元に進学・就職する若者は増えましたか?
自県進学率の上昇は、23区規制によって東京への進学が抑制された結果ではなく、東京以外の道府県外への進学が減少し、地元志向が高まった結果と考えるのが自然であり、自県進学率の上昇をもって、23区規制の効果があったと評価することは適切ではありません。
23区規制の導入以前から、自県大学への進学率は上昇していますが、地方(1都3県を除く)における進学先の推移をより詳しく見ると、自県への進学率は、平成21(2009)年度から令和7(2025)年度までに約3ポイント上昇しました。一方、東京を除く他の道府県への進学率は約3ポイント低下し、東京23区内への進学率は6%台でほぼ横ばいです。
また、地方大学の卒業者が大学と同じ都道府県に就職する割合は、規制導入後も低下傾向にあり、直近では約7割です。
地方の若者の減少で、地方から都内大学へ進学する割合が相対的に高まっているのでは?
地方から都内大学への進学割合が、相対的に高まっているとは確認できません。
一都三県を除く全国では、平成元(1989)年度から令和7(2025)年度にかけて大学進学者の総数が増えた一方、都内大学への進学者数は減少し、その割合も13.4%から9.8%へ低下しました。
この割合は23区規制が始まる前から低下傾向にあり、規制導入後はおおむね同じ水準で推移しています。

規制は国の成長戦略とも逆行

規制は日本の成長にどう影響しますか?
日本の成長には科学技術やイノベーション(技術革新)を担う人材が欠かせません。
23区の大学を含め、国全体で社会の変化に応じた人材育成に取り組むことが重要ですが、規制が弊害となり大学改革を妨げています。

日本の名目GDPは、令和12(2030)年には世界6位へ低下するとの見通しもあり、OECDによると、日本の経済成長には労働・資本に加え、技術進歩やイノベーション、経営効率化などによる生産性の向上が重要であるとしています。
 
科学技術やイノベーションで日本は遅れていませんか?
科学技術や人材の力こそが国力そのものですが、科学技術やイノベーションの人材育成で日本は後れをとっています。
注目度の高い論文数※1 世界ランキング(分数カウント法※2)において日本は、平成14年は4位だったものの、令和4年時点では13位に下落しており、この間に韓国に順位が抜かれている状況です。
また、各国のイノベーション能力とその成果を評価するGII(グローバル・イノベーション・インデックス)においては、令和7年時点で12位と韓国やシンガポール、中国の後じんを拝する状況です。
※1 被引用数が上位10%に入る論文の数
※2 日本の機関Aと米国の機関Bの共著の場合、それぞれ1/2と数える方法
 
国内の理系人材の育成は進んでいますか?
十分とはいえず、今後の需要に対応した理系人材の育成が必要です。
日本の成長に必要なのは、23区の大学も含め総力を挙げて人材育成に取り組むことであり、23区大学へ定員規制を行うことは、社会の要請にも国の政策にも逆行しています。

国内ではデジタル化の急速な進展など産業構造が変わり、令和22(2040)年には、理系人材が120万人以上不足するおそれがあります。
また、大学入学者に占める理工系分野の割合は、日本が17%で、OECD平均の27%を下回っています。ドイツ、韓国、イギリスなどと比べても低い水準で、文部科学省も都市部の私立大学における理系分野の拡充を掲げています。
 
 
企業はどのような人材を求めていますか?
経団連の調査によると、大学卒業者に「文系・理系の枠を超えた知識・教養」を期待する企業は約85% に上り、専攻分野の基礎知識や専門知識を上回っています。
例えば、防災・減災では、理系の知識による災害予測だけでなく、避難を促す情報の伝え方や人がどのように行動するかといった文系の知識も必要です。
両者を組み合わせることで、社会課題に対する実効性の高い解決策につながります。
世界の先端領域分野に対する大学改革の事例は?
世界では、先端領域などの分野の人材育成のため、大学改革が進んでいます。
日本の成長のためには、23区の大学も含め人材育成を加速させていくべきです。

【先端領域分野の人材育成のための大学改革を行った事例】
 
 

マサチューセッツ工科大学(アメリカ)
AI・コンピューティング教育を全学横断で再構成
建築・都市計画学、工学、人文科学・芸術・社会科学、理学、経営学の5つのスクールと協働するカレッジを新設

スタンフォード大学(アメリカ)
地球規模の気候危機解決を加速し、サステナビリティに関する緊急課題に取り組むため、学科群、学際研究所、アクセラレータで構成されるスクールを新設

ニュー・サウス・ウェールズ大学(オーストラリア)
量子コンピュータ・量子センサー・量子通信など量子技術を設計・制御・応用するための工学的知識と技術を修得する学士課程を新設

動画や資料で規制の影響を知る

規制の問題点や、大学・若者の声をまとめた動画や資料(ファクトシート)を作成しました。

動画

動画「これ知ってる?東京23区にある大学の定員規制が日本の成長を阻害している!?」(1分20秒)

大学改革や人材育成への影響、学生の進学機会との関係、そして東京都が規制撤廃を求める理由をわかりやすく解説しています。

【高校生向け】動画「気がつかないうちに、選べる進路が減っているかも?」(40秒)

23区大学定員規制が学生の進学先や将来の選択肢にどのような影響を与えているのかを解説します。若者から寄せられた意見も交えながら、東京都が規制の見直しを求める理由を紹介しています。

ファクトシート

この資料では、規制の概要や当事者である大学や若者の声、規制の効果のほか、国際競争力への影響などを整理しています。23区大学定員規制について考えるための基礎資料としてご覧いただけます

東京23区の大学定員規制について- 令和8(2026)年6月発行(PDF/2.51MB)

【概要版】東京23区の大学定員規制について- 令和8(2026)年7月発行(PDF/915KB)

規制撤廃に向けた都の取り組み

東京都は、規制が導入される以前から一貫して撤廃を求め、国への要望活動などを行っています。

最近の主な活動

知事コメント(令和8年6月4日)

令和8年6月4日に国の有識者会議で、東京23区の大学定員規制に関する議論が始まったことを受け、知事がコメントを発表しました。

令和8(2026)年6月4日 知事コメント全文(PDF/0.2MB)

定員規制の撤廃を求める団体 一覧

以下の団体も東京都と同様の意見を表明しています。

特別区長会「東京 23 区の大学の定員抑制等」に関する緊急声明(外部リンク)

東京商工会議所「東京23 区の大学における定員抑制について」(外部リンク)

東京都公立高等学校長協会「東京23区の大学における定員抑制についての意見」

新経済連盟「東京23区内に所在する大学の学部に対する収容定員を抑制する規制の撤廃に関する意見」(外部リンク)

これまでの活動

記事ID:001-000-20231014-003041