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令和6年8月1日「全国知事会議」東京都の発言要旨

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【地方創生について】

地方創生だが、地方自治体の各々の個性、強みを発揮して、自主的、自立的な行財政運営を行っていくことが何よりも重要だ。最近、国において、経済発展のために新たな産業を創出する取組を、例えば熊本県、そして北海道で始めておられることについては注視している。こうした施策は経済の活性化や雇用が創出される、そして地方の活力の向上につながるものであり、国には積極的に取り組んでほしい。

都としては、各自治体と共に連携密にしながら、地方全体の活性化、そして発展に貢献していきたいということから、国内外のスタートアップを集めた拠点として「Tokyo Innovation Base」を創設し、また、「SusHi Tech Tokyo」というイベントを昨年から始め、既にアジア最大級になって、スタートアップのイベントとしてさまざまな企業家の交流、商談のきっかけとなる機会を提供しているところだ。まさに、地方部と都市部が共に栄える「共存共栄」の考えのもとで、こうした連携を重ねることが重要だ。そしてそのためには、地方の権限と財源の拡充を強く国に求めていくことが重要だ。

【人口戦略対策本部の設置及び決議案(緊急宣言)の修文について】

人口戦略対策本部の設置だが、今、国際競争力が低下する中で、人口減少に歯止めをかけることは重要な点だが、わが国全体の問題であり、国内でパイの取り合いを考えていては、直面する課題の本質的な解決はできない。

決議案については、特定の地域への人口、産業の集積を日本全体の人口減少に関連付けた主張が行われているが、因果関係が不明確な主張を前提とした記述は取り除くべきだと考えている。ぜひともこの点を考慮してほしい。また、それについて取り除かれないときには賛同しかねる。②及び③の、人口をどのようにして発展させていくかについては、納得のいくものだ。①の部分、そして本文中にある「特定の地域への集中」については、削除をお願いする。されない場合については(本部の設置について)賛同いたしかねる。(※)

※ 「人口減少問題打破により日本と地域の未来をひらく緊急宣言」より抜粋

①人口や産業が特定の地域に集中している現状を見過ごすことなく、地方部も大都市部も人口減少傾向に歯止めをかけ、地域における社会減を緩和する対策

②子どもや若者が将来に夢を描きながら、その希望に応じて、パートナーと出会い、結婚し、安心して妊娠・出産・子育てができる、保育・教育の無償化をはじめとする子ども・子育てにやさしい社会へ転換する対策

③人口減少地域においても住み続けることができる持続可能な地域づくり対策

 

<「人口減少問題打破により日本と地域の未来をひらく緊急宣言(案)」修文案に対して>

ただいまのご提案だが、東京に(人口が)流れていることについては、先ほど中村愛媛県知事からお話あった。一極集中の是正等を明確に書き込むことも考えたが、私の顔がよぎったという話だが、一極集中の是正は何十年と言われてきたことだ。むしろそれを錦の御旗にしてきたのではないか。

そして、今、IMD(国際経営開発研究所)の調査で、わが国の国力のランキングは、かつては80年代後半、90年代、バブルだが、全て日本の企業が1位から10位、またその下まで並ぶような状況で、国としても1位だった。現在は38位、そしてまたGDP(国内総生産)で考えると、為替の問題もあるが、ドイツに抜かれ、インドがすぐ迫ってきているという状況だ。つまり、パイの切り分けではなく、このパイをいかにして世界との競争に勝ち上がっていくのかということだ。先ほど、半導体の工場が新設されるという動きに対して注視しているということを申し上げたのはそのためだ。

それから、出生率というのは、15歳からの女性に対して、何人人生の間で子どもを産むか、ということである。1を切ったというのは定点観測で、1を切ったことは事実だが、いかにしてその分母の部分の母を守っていくか、ということだ。東京都はこれまでも、ぜひ国にもしっかりとこの問題に本気で向き合ってほしいということを(示してきた)。そのために、例えば卵子の凍結から、無痛分娩ということも始めているところだ。

これはまさに、今日も男性育休初の30%超と福井新聞の方に出ていたが、全体の働き方、女性の活躍の仕方、そういったもっと大きな話である。人口の過疎と集中というお話があったが、しかしながら、そこの定量の部分は、一極集中の是正や「東京が」という話にすぐつながってくることはこれまでも何度もあった。そういう意味で、①の部分は徹底して外していただきたいと思う。

しかしながら、次の②と③については、重要な点であるので、ここを否定するものではない。全国47都道府県一致して進めるんだ、オールジャパンで進めるんだ、ということであるので、まずはその①の部分を外して、その上で、②と③の本質の部分を話してもらいたいと思う。

【偏在是正等について】

まず、1人当たりの法人関係税の話については、収入として比べるべきはむしろ地方交付税なども含めた1人当たりの一般財源額であり、これで見ると都の数値はあくまでも全国平均とほぼ同水準で、それを持って格差ということについては無理があると考える。

埼玉県からご指摘があったeコマースの進展だが、これについてはネット販売の主要30社を調べると、ネット販売全体の売上高の7割に相当するという、かなり大きな部分になるが、その法人事業税は、税収で見ると都のシェアはこの5年間で29%から23%へと低下している。

不交付団体の話については、ストレートに財源が増える部分と、その逆も真なりであり、コロナ禍では1年で4,000億円、リーマン・ショックは1年で1兆円という巨額な税収減に見舞われるということについても、事実として申し上げておきたい。

子育て支援については、財源をしっかり確保する努力をしながら、都として進めてきたものだ。そして、これを進めることで、この全国知事会で子育てはどこに住んでいようが、どういう立場であろうが国として進めるべきだ、というのが一致した意見ではないかと思うので、よりワンボイスで進めていくべきだと申し上げたい。

 

会議資料については、全国知事会ホームページをご覧ください。

記事ID:001-001-20241029-011603